チャリテイについて
チャリテイについて
01・8・12 伊豆オープンガーデン 森下一義
最近オープンガーデンにおけるチャリテイ活動について真剣に考えている。
1には、伊豆オープンガーデンが当初「お庭巡りを通じて交流の輪を広げる」ことを第1の目的としてスタートしながら、いまやその目的を殆ど達成してしまったことにある。新たな目的を設定しないと、なんのためにオープンをしているのか判らなくなる危惧を感じている。
2には、英国ナショナルガーデンスキームTheNGSのホームページをあらためて見て、まずトップに「 gardens open for charity 」と謳ってチャリテイをガーデン・オープンの基本理念に据えていることを再認識したためである。
TheNGSはチャリテイのためにオープンしているのである。ひるがえって我々は何のためにオープンしているのか。
オープンガーデンの目的
これまで伊豆オープンガーデンは「仲間作り」を目的としてきた。僕は「チャリテイ」の言葉や意義が日本の社会に馴染まないこと、実際に徴収が難しいことを理由にチャリテイを避けてきた。しかし「チャリテイ」以外に据えるべき適当な目的があるのだろうか、と思い始めている。
「仲間作り」は、これ以上友達を増やしても付き合いきれない域に達した。
「観光・地域振興に貢献する」ことを目的にする情熱は僕にはない。
庭を見せることによる「自己顕示欲の充足・自己満足」といっても、それだけで「伊豆オープンガーデン」という社会的活動を支える原動力にはならない。
小布施オープンガーデンを見学して刺激を受け、「もっと綺麗にしよう」「もっと頑張ろう」と気持ちを新たにしたが、それだけで「もっと多くの人に見てもらおう」とは結びつかない。
このまま無目的に継続するならば、「伊豆オープンガーデン」もいづれは瓦壊する。
結局「チャリテイ」は最も適当な目的なのだろうか。
徴収出来るのかどうか。
こ れまで3年間のわがオープンガーデンの訪問客で手土産を持参した人は10人に満たない。会員庭でもお茶のサービスや苗にお金を払う訪問客はいないと聞く。 お庭拝見に謝礼をする感覚は日本の風土にはないのであろうか。また庭側にも一部お金が関わることに極端に反発する風潮がある。
伊東市内あるいは沼津・静岡あたりから伊豆オープンガーデン巡りに来る人の立場になって考えて、6軒の庭を巡り1軒200円として合計1200円を喜捨する気持ちがあるかどうか、疑問である。
今回我々の小布施オープンガーデン訪問の費用は、1泊ホテル代・交通費・手土産代合わせて1人2万円弱であった。ここで訪問した7軒のお庭に200円のチャリテイを支払うと1400円であり、7%アップとなる。小さな金額ではない。
どうも現場に即して考えるほど徴収は難しい問題になってくる。
英国の場合、1人あたりのチャリテイ額は約3ポンドというから500円程度であろうか。とても日本で徴収出来る金額ではない。
一方TheNGSは参加オープンガーデン3500軒で集めるお金から年間2億5千万円を各団体にチャリテイしているという。単純に計算すると1軒あたり7万円以上である。それだけ貢献すればオープンガーデンの意義も十分に感じられよう。
この間TheNGSの後援を受けたNGSジャパン設立の呼びかけ(谷口多美江氏)があり、長野「メアリーローズガーデン」でTheNGSフォーシャム会長にお目にかかる機会があった。かくして「チャリテイ」に関心を持ち始めはしたが、これから実行までには長い長い道のりがありそうである。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
チャリテイについて幾つかのご意見を頂いた。
いまのところご意見は「チャリテイ先」と「チャリテイを出す人の気持ち」の2点に集中している。特に「チャリテイ先」はチャリテイの成否を分ける重要事項のようだ。
この2点だけでも大きな問題だが、僕は「庭主の立場」に関する議論が欠落しているように思う。
庭を公開するために庭主は次のような負担をしている。
1-それなりの庭作り、花の用意
季節季節の花鉢花苗を準備する費用だけで普通の家庭の主婦のお小遣いの範囲を大きく超えることは確かである
2-それなりの維持管理・・・水やり、草取りなど
3-訪問客の応接
4-お庭公開の告知・・・自分だけで「オープンガーデンである」といっていても誰も来ない。それなりの告知活動が伴わないとオープンガーデンとはいえない。
「チャリテイ」は庭主にこれだけの負担に加えてチャリテイを「徴収」し、チャリテイ先に「届ける」負担を与える。
またチャリテイを徴収すれば訪問客には「払った人」の意識が発生し、庭主の応接の負担はもっと大きくなるだろう。
そもそもオープンガーデンにおけるチャリテイとは何なのか。
チャリテイのお金を拠出する訪問客の慈善行為なのか。
お金を拠出させるだけのお庭を作っている庭主の慈善行為なのか。
(これは6月7月のチャリテイに関するメール2信を一つにまとめたものです)